2011年4月16日土曜日

危険は10万年後まで…放射性廃棄物扱う映画が大人気、全国公開へ

      
                                         アーティストでもあるマイケル・マドセン監督が、
                                          独特の映像美で放射性廃棄物の問題に迫っていく


東日本大震災の影響で、震災を連想させる映画の公開が延期されるケースもあるなか、放射性廃棄物問題を正面から描いたドキュメンタリー「100、000年後の安全」(マイケル・マドセン監督)が、連日満員の人気となっている。16日からは全国で拡大公開が順次始まり、6月までに19館で上映が予定。原子力問題への関心の高まりが示された格好だ。
 この作品は、フィンランドが建設している世界初の放射性廃棄物の最終処分場「オンカロ」が題材。危険性が10万年続くといわれる高レベル放射性廃棄物を、地中深くの堅い岩盤内に埋め込んでしまう計画だ。
 しかし、10万年といえば、石器時代から現代までに相当する長大な時間。10万年もの間、人類にこの場所が危険だと警告し続けることは可能なのか。文明が変われば、文字もイラストも通じないのではないか。もし、未来の人類が財宝と誤解して、放射性廃棄物を発掘してしまったら…。マドセン監督は関係者たちに質問を繰り返し、彼らが苦悩する様子を記録している。
同作を配給する「アップリンク」では、今秋の公開を予定していたが、震災による福島第1原発の事故を受け、4月2日から自社の劇場「渋谷アップリンク」で急(きゅう)遽(きょ)公開。ほとんど宣伝できなかったが、連日満席の状態だ。
 同社でアンケートを採ったところ、「とても大事な事実を知った。ただ、知らずに済むなら、その方が幸せだったのかも」(20代・男子学生)、「『原発の賛否を超えて向き合う問題』というメッセージが広く伝わってほしい」(30代・男性会社員)などの意見が寄せられた。
 他の劇場からも問い合わせが相次ぎ、16日からは青森や群馬、横浜、宮崎、愛媛など19館で順次公開が決まった。同社では「今後も上映館は増えそう。日本にとっても重要な問題であり、議論を深めるきっかけとなれば」と話している。

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