2011年9月13日火曜日

桂三枝「笑いで笑顔…日本に発信」 安藤忠雄設計、上方落語の殿堂が地鎮祭

方落語協会(桂三枝会長)の新たな殿堂「上方落語協会会館」が来年4月、大阪市北区に誕生する。きょう13日、建設の安全を祈願する地鎮祭が行われた。この近くに建つ定席「天満天神繁昌(はんじょう)亭」も平成18年、上方落語の殿堂としての期待を担い建設され、15日に開場5周年を迎える。落語ブームは一段落ついたかに見えるが、協会では同会館を新たな拠点に、さらに全国的な落語ファンの拡大に努める構えだ。(豊田昌継)
 ■75万人超の人気を追い風
 地鎮祭には三枝会長のほか協会員、設計を担当した建築家、安藤忠雄氏ら約100人が出席し、鍬(くわ)入れなどを行った。
 三枝会長は「日本が総じて暗いなか、心から笑える発信地になれば。この会館をきっかけに次の世代を育てるのが我々の使命です」とあいさつし、工事の無事を祈願した。
 同会館は鉄筋コンクリート3階建て(延べ床面積約260平方メートル)で、大阪天満宮正門の南東約50メートル、繁昌亭から同約100メートルの、住宅やオフィスビルが混在する約130平方メートルの敷地に建設される。これまで繁昌亭内に置かれていた事務所や、近くのビルに分散していた資料室、稽古場などを1カ所にまとめる。
総工費は7千万円。土地は「三枝会長の知り合いで、協会の活動に理解ある方が格安で提供してくださった」(協会幹部)といい、設計についても、やはり三枝会長と懇意にする安藤さんが、「落語は日本が誇る文化。意義あること」と無償で請け負うなど、会館建設には大きな期待がかかっている。
 「喜怒哀楽」をコンセプトに、事務所機能のほかに、一般のファンが立ち寄れるスペースも確保。展示や教室など交流の場も持ちたい考えだ。
 一方、協会の念願として建てられた繁昌亭も15日で開場から丸5年。当初は、NHK連続テレビ小説の題材になるなど“落語ブーム”にも乗り、わずか1年で15万人を突破。観客数は月平均1万4千~1万5千人で、特に昼席は“プラチナチケット”と言われたが、昨年ごろから動員がやや鈍化。月平均も1万人前後で、当日券で入場できる日も出てきた。
 ただ、三枝会長は「(当初の動員が)ミラクルだった。心配はしていない。若い落語家が切磋琢磨(せっさたくま)してくれれば、(お客さんも)来てくれる」と冷静だ。
 定員220人の定席で、今年8月末現在の総入場者数75万人超という数字は誰も予想できなかった上々の記録。この“人気”による蓄財が、会館建設をよりスムーズにさせたともいえ、三枝会長は「将棋会館のように、全国から来ていただいて、新たに落語ファンになっていただけたらありがたい」と、新しい落語の殿堂に期待を込めた。

0 件のコメント:

コメントを投稿